いよいよ、大腸がんを切除する手術の日。
手術は朝イチだったので、早朝からひとりで病院に向かいます。
ふだんは神頼み的なことはしないくせに、
こういう時だけ、近くの神社に行って手を合わせたりしました(笑)
心の中は、がんがどうなるかよりも、とにかく
「手術中に何か起きたらどうしよう」「無事に手術を終えられるのかな」
という不安がいっぱいで、ずっと心臓のばくばくが止まらず。
誰もいない閑散とした神社で手を合わせながら、ちょっとだけ泣きました😂
手術当日の流れ
早朝の病院へ
夫の方は、朝6時までは水分(水、麦茶、ポカリ、アクエリ)を取ってもいいということでした。
その後は手術まで絶飲絶食です。
病院に向かいながら夫に、両親にひとこと連絡を入れておくように促します。
1点不安だったのが、
ほんとに早朝から病院に入れるのか?ということ。
手術が朝イチなので、病院の受付開始時間より前に病棟に入らなければいけないと前日に気づいたのですが、
病院のHPに「面会は〇時~受付で許可証を受け取ってください」と書いてあります。
受付が開いてないのにどうやって許可証を受け取ればいいのか?
手術だし、特例的にふつうに入っていっていいのか?
そもそも、病院の入り口は開いているのか?
病院の入り口が開いてなかったら終わりだな・・・とか思いながら向かいましたが、
開院時間の30分くらい前から入り口は開いていて、私のほかにも数人が並んで列になっていました。(たぶん外来のひと?)
万が一開いていなくても、入り口の横にある守衛室は早くから開いているみたいなので、
そこに行って開けてもらえばいいみたいで、要らぬ心配でした😅
手術も心配でしたが、無事にたどり着けるかどうかも心配でした・・・
電車やバスが遅れたり、道が渋滞したりということもあるので、余裕を持って行った方がいいと思います。
万が一遅れて、手術前に顔を見られなかった、なんてことになったら悲しいですからね😨
・ ・ ・
ナースステーションに「今日手術を受ける○○の家族なんですが・・・」と伝えると、
手術の10分前くらいに会えるのでデイルームで待っているようにと言われました。
(デイルームは、入院患者さんや面会に来た人が使う、大きな休憩室みたいなところです)
手術開始前
しばらくすると執刀医の先生が会いにきてくださって、
軽い挨拶と、手術の簡単な流れと、大体5~6時間かかるというお話。
この大病院で手術日を決めたときにも一度お会いしていて、
40代くらいのフランクでフレンドリーな先生でした。
夫の命はこの人の手にかかってるのか・・・などと内心思いながら、
ほんとの本気で「手術」というものに馴染みがなさすぎてとにかく不安だったので、
「よろしくお願いします・・・!」と深々と頭を下げたのですが、
先生は「ハハハ、そんなに心配しなくても大丈夫だよ」と笑いながら去っていきました。
そのことがちょっとだけ不安を軽くしてくれて、気持ちが楽になりました😊
私たちにとっては手術自体が生きるか死ぬかの大問題だったのですが、
先生にとってはそこまで深刻で重大な手術ではないのかも、と思うと少し安心できました。
・ ・ ・
その後すぐ夫がデイルームにやってきたのですが・・・
前日からずっと絶食していて顔色も悪く、水色の手術着とヘアキャップをかぶって、看護師さんに伴われながら、点滴スタンドにつかまってヨタヨタと歩いてくる弱々しい夫の姿を見て、
一気に不安になって泣きそうになりました(笑)
なんかもう可哀想すぎて・・・
衝撃的なくらい弱々しかったです・・・
ほんとにこれで手術乗り切れるのか?と心配になるくらい・・・😨
とは言っても、手術前で不安なのは夫の方なので、
おはよ~!と言ってできるだけいつも通りの感じで話しました。
「寝れた?」とか、「緊張するね」とか、
「今朝神社でお祈りしてきたから大丈夫だよ!」とかとか。
抱きしめてあげたい気持ちでしたが、看護師さんがそばで見ていたのでできず(笑)
せめてもと思い、手を握ってさすさすしました。
・ ・ ・
時間になって、手術室に入っていくヨロヨロした夫を見送ります。
もうこの時点で泣きました👀
その後は、デイルームに戻って、手術が終わるまでひたすら待つのみです。
今回の手術の内容
今さらですが、手術の内容としては、
(13)先生からのお話(がん/入院/手術、(14)手術の説明を読んで思ったことで書きましたが、
- おへそに大きな穴、そのまわりに4つの小さな穴を開ける、腹腔鏡下手術。
- 大腸の、がんが出来ている箇所を含めて15~20センチを切り取って、体外に出す。
- 隣接するリンパ節も切除する。
- 縫合でつなぎ合わせる。
という予定。
しかし、不安だったのが、
- 実際手術するまでステージ判定が確定しないこと。
(想定はステージ2だが、リンパ節や他の臓器への転移があればステージ3、4の可能性もある)
という点と、「手術を受ける方へ」の紙に書かれていた、
- がんが想定より広がっていたら、もっと広範囲(ほかの臓器を含む)を切り取ることもある。
- まわりの臓器を傷つけたり、やむを得ず複数の臓器を切除することもある。
・・・つまり、大腸の一部を切り取る手術のはずが、最悪の場合、大腸ぜんぶ、もしくは他の臓器も無くなりました、みたいなことが起こる可能性が、ゼロではないということ💀
手術を受け慣れている人(?)にも、
手術中の事故や不測の事態に対する不安ってあるのでしょうか・・・
私たちはとにかく「手術」ということが未知すぎて、
がん自体の不安も当然のことながら、「想定外のことが起こって大変なことになる」ことへの恐怖がものすごくて、あれもこれも全てが本当に恐怖でした(^^;)
ひたすら待機
夫を見送ってから、またデイルームのテーブルに戻って、
そこから5~6時間ひたすら待ち時間になります。
病院によって、院内で待つスペースがある場合もあれば、
外で時間をつぶした方がいい場合も、
家が近い人だといったん帰宅してまた戻ってくるパターンもあります。
私の場合は、
家も遠くて病院の外に時間をつぶす場所もなかったので、院内でずっと過ごしました。
そのときのことは次の記事に書きます。
と言ってもただじーっと座って待ってただけなんですけど😅
無事に手術が完了
ちょうど5時間くらいたって、看護師さんが、
「いま無事に手術が終わったので、あちらで先生のお話があります」と呼びに来てくれました。
「無事にってことは、手術中の不測の事態とかはなかったってことだよね・・・?」
と思いながら、先生のところに向かいます。
手術室の手前にある小部屋で、切り取った大腸を見ながら説明を聞きました。
このことについても、後の記事でくわしく書きたいと思います。
・ ・ ・
先生のお話が終わると、入れ替わりで入ってきた看護師さんから、
- 今日はHCUで一晩様子見、明日傷口などの問題がなければ病室に戻れる。
- 明日からお水を飲めるようになる。
- 明後日くらいから様子見ながら食事をとれるかも?
というお話を受けました。また、
「麻酔が切れたら手術室からHCUに移動するから、その時に顔を見れますよ」と言われました。
「ICU(集中治療室)」という言葉はたまに聞くと思うのですが、
「HCU(高度治療室)」は、ICUよりも一段階、緊急性・重篤性が低い感じです。
すぐに看護師さんが駆け付けられる、目が届く場所にあって、
何かあったときにすぐ処置を受けられる体制になっていることは同じですが、
ICUほど重篤ではないけど、ふつうの病室よりは手厚いケアが必要、という人が入る治療室みたいです。
手術当日は合併症などもあり、よく監視しておかないといけないので、HCUで一晩過ごすということでした。
手術後の夫と対面
デイルームに戻って待っていると、
看護師さん5人くらいに囲まれて、ベッドに横たわった夫が手術室から出てきました。
朦朧としていて、なんか苦しそうで、
顔をしかめて目をぎゅっと閉じていました。
看護師さんが
「頭は朦朧としてるけど、声は聞こえますから、声かけてあげてくださいね」と言うので、
「手術終わったよ!がんばったね!もう大丈夫だよ~(;▽;)」
と半泣きで言ったものの、
聞こえているのかいないのか、とにかくすごく痛そうな顔をしていて、
「痛い?痛いよね?」と聞いたらウンウンって頷きました💀
もう私の声掛けとかどうでもいいから、
「なんかめっちゃ痛そうだから早くなんとかしてあげてください😨💦」と言って、
そのままナースステーションのすぐ前のHCUに運ばれていきました・・・
ちなみにこの時のことを夫に聞くと、
「なんか声を聞いた気はするけど、痛くてそれどころじゃなかった」
と言っていました(笑)
その後
夫がHCUに去っていったあと、廊下に一人取り残されてポカーンな私。
とりあえずデイルームに戻って、
安堵+夫が痛そうすぎて怖くなり、メソメソ泣きながら座っていたのですが、
今後の話とか説明とかあるのかな~と思っていたものの誰も来なさそうな感じだったので、この後どうしたらいいのかそわそわ・・・
少し待って、荷物をまとめてナースステーションに行ってみることに。
「いま手術が終わってHCUに入っていった者の家族なんですけど、もう終わりでしょうか?帰っていいんですかね・・・?」と看護師さんに尋ねると、
「あ、そうですね。お帰りいただいて大丈夫だと思います😊」と言われ、
「あ、わかりました。それでは、よろしくお願いします。」と頭を下げ、そのまま帰りました。
もう、帰りの道中は、
手術の不安や緊張による精神的な疲れと、早起きして緊張状態で5時間待機していた肉体的疲労と、とりあえず手術が無事終わってよかった~という安堵とで、
へろへろに疲れきっていて、あんまり記憶がないです(^^;)
ただその中でも一応、
夫のお母さんに「無事に手術終わりました。」という連絡を入れ、夫にもLINEを送りました。
「よくがんばったね。」
「お母さんには連絡したから、
気力が戻るまで、スマホ触らなくていいからね。」
「しっかり休んで、辛いけどちょっとずつリハビリがんばろうね。」
「(コロナ禍だったので)面会不可だけど、また行くからね😊」
というようなことを手短に送っておきました📝
スマホは自分のベッドの貴重品入れにしまってあるので、HCUから出られる翌日の昼ごろまでは見られないんですけどね!
本当はもっといろいろ伝えたいことがあったんですけど・・・
夫が満身創痍の状態で病室に戻ってきて、スマホ開いて長文のLINEが来てたら疲れちゃうだろうな~と思い、最低限にしました(笑)
その日の出来事を吐き出しましょう
なんとか家にたどり着いて少し眠って、夜に目を覚ますと、
夫のお母さんから電話がかかってきて、
手術前の様子や、手術後に顔を見たときの様子、先生から聞いた話、今後のスケジュールなどをいろいろ話しました。
夫の実家は遠方なので、コロナ禍でこちらに手伝いに来られないことと、
夫の病気によって迷惑と苦労をかけてしまうことを、本当に申し訳ないと何度も謝られました😅
そんな風に全く思っていなかったのですが、
ただお母さんの気持ちもよくわかります・・・申し訳なく思っちゃいますよね。
・ ・ ・
この日私は、
ずっと一人でいて、本当にたくさんのことを考えて、気持ちの上下も激しかったので、
夫のお母さんと電話で話すことができて本当によかったな~と後から思いました。
もし電話がかかってこなくて、誰ともその日のことを話さずにいたとしたら、
ちょっと頭がおかしくなってたかもしれない・・・なんて思います👀
頭のキャパがいっぱいで、感情の波を受け止めきれない(?)みたいな感じで、
ずっと脳がハイになってピリピリしているような感覚があったんですよね。
もしも同じような状況の人がいたら、
自分の親でも相手の親でも友達でも、その日のことを話して、少しでも吐き出した方がいいかもしれません。
すぐ近くに親や知り合いがいたらいいんですけど、
遠方だとなかなか話す相手もいないので・・・電話でもLINEでもいいと思います💡
少しでいいので、誰かに聞いてもらいましょう。